西美濃三十三霊場第十四番札所
影向山善学院(ぜんがくいん)
所 在 岐阜県安八郡神戸町神戸978-1
宗 派 天台宗
本 尊 阿弥陀如来(聖観音)
創 建 天平年間
開 基 善深大和尚
善学院は、33霊場の中で唯一安八郡神戸町にある名刹で、大垣駅から約6.5㎞北にあります。車なら15分程度で行ける距離です。
第十四番霊場の碑 |
創建は古く、約1200年前の天平年間、善深大和尚が開祖と伝えられています。
弘仁8年(817年)秋、招かれてこの地を訪れた伝教大師(最澄)のまえに、比叡山日吉権現の御姿が来光あらせられ、「この地に山王権現をまつれ」との御告げがありました。大師は自ら御神体を彫刻、鎮守の杜としてまつったのが神戸町にある日吉神社です。
こちらも名刹 日吉神社 |
日吉神社の三重塔 |
嵯峨天皇(在位809~823)の勅命により、この日吉神社を護る寺として「神護寺」と号しましたが、下って元三大師(912~985)が御来杖の折、学問所として「善学院」と命名されました。
江戸時代には徳川家の守護寺として幕府から御朱印地を賜り、徳川五代将軍の位牌が安置されています。
境内は広いです |
境内には、この地を「小比叡の里」と名づけられた伝教大師の碑を初め、芭蕉の句碑、江戸時代の漢学者金龍道人の寿碑があります。
特に江戸時代末期の南画家高橋杏村碑の碑文は、森鴎外の撰によるもので、文学史上からも貴重なものです。
重厚な造りの鐘楼 |
寺の表と裏には池があり、それぞれ落ち着いた日本庭園になっていますが、近頃やや手入れが行き届いていないように見受けられ残念です。
また、善学院は美濃五山の一つでもあります。美濃五山とは岐阜県美濃地域に位置する天台宗の古刹、美江寺(岐阜市)、横蔵寺(揖斐川町)、善学院(神戸町)、円興寺(大垣市)、真禅院(垂井町)の五寺院のことです。
五ヶ寺とも創建は奈良・平安時代まで遡り、1200年にわたる悠久の信仰と歴史と文化財を有する寺院で、室町時代頃より、これら最澄ゆかりの観音霊場五ヶ寺の巡拝が始まったと言われています。